「ぶち破れ!オレがヤル」。矢野監督は「打者だったら俺がヒーローになる、投手だったらピンチを乗り切るという思い。1人より2人、2人より10人だから。俺らだけじゃなくて、ファンの人たちもみんなでそうやって思えたら、何かパワーになるんじゃないかな」と説明する。「俺がやる。」は2014年にソフトバンクが使っていたが、その年のソフトバンクは日本一を勝ち取ったことから「縁起もいいし、エエんちゃう?」と”二番煎じ”の指摘も気にしない。
だが、最下位からの巻き返しは、選手の気の持ちようや指揮官・ファンの鼓舞だけでは容易ではないだろう。
投手陣に関しては、先発陣に二桁勝利が期待できるガルシア、西の2人が加わり、救援陣では新外国人のジョンソンも計算できそう。極度の制球難による藤浪の離脱やメッセンジャー・能見・藤川らベテラン陣の衰えを差し引いたとしてもリーグトップクラスと言える陣容だ。
だが、問題は昨年も低迷の主因となった得点力不足だ。4番候補として獲得した新外国人マルテはオープン戦で期待されたような打棒は見せられないまま体調不良を理由に2軍落ちし、1軍で使えるめどは全く立っていない。そのオープン戦で目立ったのはドラフト1位の近本、同3位の木浪で、2人とも開幕スタメンに名を連ねそうだが、新人だけにシーズンを通じてどの程度働けるのかは未知数だ。
今年も3番、5番の中軸として起用される見込みの糸井、福留は年齢的にも上がり目は見込めない。昨季、チームのピンチを何度も救った代打の神様・原口は大腸がん手術からのリハビリ中だ。
「最下位」の嫌なイメージを払拭したかったオープン戦は、5勝11敗という成績に終わった。矢野監督がメッセンジャーら計算の立つ投手の多くを2軍で登板させ、1軍のマウンドは若手に機会を与えた結果でもある。この“種まき”が、今シーズン中に実を結ぶことができるだろうか。