申告敬遠は計9回、超裏目だったのは・・・

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開幕3連戦での申告敬遠は18試合で9回あった。ほとんどはピンチを凌いだが、笑えないドラマも見られた。

まずは制度をおさらいしよう。NPBが申告敬遠を導入した最大の目的は、試合時間の短縮だ。4球、ボール球を投げることなく敬遠出来る。

阪神時代の新庄剛志が敬遠球をサヨナラヒットにしたことがあったが、そうしたケースや、暴投のリスクがなくなるのだ。

戦術的に見れば、守る側が強打者との対戦を確実に回避し、より与し易い相手やランナーの状況を選択して、勝負出来る。

一方で、大量失点に繋がるリスクも生じる。ギャンブル性が高い。

9回の申告敬遠のうち、無失点でしのいだのは6回。「成功」と言えるだろう。一例を挙げてみる。

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3月29日阪神−ヤクルト戦

1-1で迎えた延長十回表二死一塁で山田の打席。梅野のパスボールでランナーが二塁に進んだところで、矢野監督が能見に申告敬遠を指示。続く塩見を打ち取って無失点で切り抜ける。

場面 神1ー1ヤ 十回表二死二塁
監督 矢野監督
結果 ピンチを脱する
試合結果 神2-1ヤ
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同じく29日のソフトバンク-西武戦では、両チームが終盤の八回と延長十回に申告敬遠。これは見応えがあった。

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3月29日ソフトバンク−西武戦

4-4の八回表二死二塁で打席に中村。工藤監督は奥村に申告敬遠を指示。二死一、二塁となり、次打者木村は凡退。勝ち越しを許さず。

場面 ソ4ー4西八回表二死二塁
監督 工藤監督
結果 ピンチを脱する
試合結果 ソ5-4西

4-4の十回裏一死一、三塁で打席に上林。辻監督はマーティンに申告敬遠を指示。一死満塁となり、福田、牧原を連続三振に打ち取る。

場面 ソ4ー4西十回裏一死一、三塁
監督 辻監督
結果 ピンチを脱する
試合結果 ソ5-4西
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一方で、「策士策に溺れる」と言いたくなるような失敗例も。まずは巨人・原監督。

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3月29日広島−巨人戦

広島が1-0とリードした八回裏二死三塁で打席に鈴木。原監督は自らマウンドへ行き、大江に申告敬遠を指示。二死一、三塁となり、続く宮國が四球を与え二死満塁。野間の二塁内野安打に失策が絡んで2点が入り、3-0に。続く會澤が2点二塁打を放って5-0と突き放される。

場面 広1ー0巨 八回裏二死三塁
監督 原監督
結果 大量4失点に繋がる
試合結果 広5-0巨
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そして、二者連続の申告敬遠の後に、日ハム・中田翔にサヨナラ満塁弾を浴びたオリックスの西村監督だ。

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3月29日 日本ハム−オリックス戦

3-3で迎えた延長十回裏一死三塁、西村監督は西川、近藤を申告敬遠。一死満塁としたが、続く中田翔にサヨナラ満塁ホームランを喫した。

場面 日3ー3オ 十回裏一死三塁
監督 西村監督
結果 満塁ホームランでサヨナラ負け
試合結果 日7-3オ
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だが、これで終わりではなかった。「なめてんのかと思いました」と怒りをぶちまけた中田。それまで4タコだった中田の闘志に火がついた。中田は翌30日も一時勝ち越しとなる2点本塁打と、九回の同点2点適時打で4打点。オリックスの2敗1分けという結果に繋がった。

ちなみに、申告敬遠が導入された2018年の858試合で、いわゆる故意四球は285。17年の90から3倍以上に増えた。時短のメリットはあれど、「プロであれば、際どいコースを攻めないのか」という疑問もあるのだが、制度だから仕方がない。西村監督がトラウマにならなければ良いのだが。

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