巨人坂本、大城「微陽性」新造語のワケ

NPB(プロ野球) スポーツ 巨人

巨人の坂本、大城が新型コロナウイルスのPCR検査で「微陽性」となったと発表された。

これだけコロナ関連のニュースが毎日流される中、「微陽性」という表現は見たことが無かったが、Googleで検索しても巨人関連のニュース以外は全くヒットしない。親会社・読売新聞の説明によると、「(両選手は)体調不良や味覚・嗅覚異常などの症状はなく、新型コロナウイルスの遺伝子量(CT値)が微量な『微陽性』にあたる」のだという。

ちなみに、同紙がこれまで新型コロナ感染者のニュースでこの表現を使ったのはこれが初めて。他のメディアも同様だ。基本的には「陽性」か「陰性」ですべて処理してきている。医学用語としても「微陽性」という言葉は馴染まない。つまり、坂本、大城両選手のために読売グループが作ったオリジナル、造語と言えるだろう。

創作した動機は容易に推測できる。三月下旬に藤浪晋太郎ら3選手の陽性が判明した阪神では、チーム全体が2週間以上の活動停止となり、当事者の3選手は退院後2週間の自宅待機期間があった。

6月19日の開幕まであと2週間余りという段階で、チームが活動停止となれば開幕のさらなる延期が決定的。今季の不成立も現実味を帯びる。さらに、チームの主力である坂本や大城は今後、「陰性」となるまでPCR検査を受けるが、その後2週間の自宅待機となれば、巨人は戦力的に大打撃を受ける。

しかし、巨人は陰性確認後、すぐにチームに合流させると明言している。阪神という「前例」や、これまでの専門家会議の提言などを覆すためには通常の「陽性」では筋が通らないことになる。そのため、「陽性だけどウイルスの遺伝子量は微量で、正常値ギリギリ」という「微陽性」とした。巨人の発表文も長々と書いているが歯切れが悪い。存在しない単語を説明するのは苦しいか。

NPBの井原敦事務局長は「専門家に聞いたうえで、現時点で開幕に影響はないと考えている」と予定通りの開幕にゴーサインを出した。井原氏は元読売新聞運動部長、巨人元国際部長でもある。

ただ、新型コロナの性質がよく知られていなかった3月時点に比べ、今は感染力などについても検証が進んでいる。すでに抗体ができている両選手が他の選手に感染させる可能性はほとんどないというのは、「新型コロナウイルス対策連絡会議」専門家チームの賀来満夫座長(東北医科薬科大特任教授)が指摘する通り。加えて全選手にPCR検査を実施するという巨人の方針も、今後の事を考えれば手本となる措置だろう。

今後も選手の感染は起こりうる。コロナ禍に負けず、プロ野球を開催していくためには、感染を広めないギリギリの線を見極めた柔軟な対応が求められる。

文・写真/BBNEWS編集部

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