「巨人軍は紳士たれ」はプロ野球の父・正力松太郎の遺訓だが、この新外国人は教えに背きそうな予感がプンプンする。
原辰徳監督率いる巨人の守護神候補・クック(通称クッキー)が色々な意味で炎上しそうだ。4-0とリードした14日のソフトバンク戦で八回から登板し、四球、盗塁、本塁打、犠飛と続き、1回3失点。相手の走塁ミスがなければ追いつかれるところだった。
マウンド上でも、降板してからのベンチ内でもイライラした様子で、何かをぶちまけていた。「本意ではなかった。波だった感情を切り替えるべきところで切り替えられず、ああいう結果になってしまった」とは本人の弁だが、紳士とはかけ離れた態度に驚いた。
巨人は昨季、救援陣だけで20敗した。最大の強化ポイントだが、感染症で離脱しているマシソンは復帰に数ヶ月要し、昨季最多登板の沢村は先発に転向。上原は手術明けだ。
オープン戦で好投した坂本工、大江、桜井は一軍での実績はないために未知数なので、原監督の「背番号大シャッフル」により、山口鉄也の「47」を継承した吉川光夫とクックに期待がかかる状況なのだ。
「最速155キロ」「メジャーオールスター選手」という売り文句。年俸130万ドルの期待のリリーバーだか、今のところそこまで速くは見えない。
外国人枠「4」は野手がゲレーロ、ビヤヌエバで「1」か「2」、投手がクック、メルセデス、ヤングマンで「3」か「2」とされ、早くから守護神はクックで決まりと見られてきた。
昨季までの吉川光夫は安定感に欠けていただけに、クックがコケると優勝は遠のく。最大の課題である救援陣の再建を、若手と新外国人に頼った編成のツケは、新たな補強という投資で払わねばならなくなるだろう。
勝負の秋に、守護神を務めているのはクックか、それとも新外国人か。そもそも秋まで持つのか。「ホットコーナー」問題より、頭の痛い悩みである。