【コラム】楽天・今江コーチ 「積極性と犠打」後身に伝授を

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楽天・今江敏晃が18年間の現役生活に幕を下ろし、育成コーチに就任した。勝負強さと積極性を兼ね備えた選手だった。

まずは勝負強さだ。規定打席に8度到達して、得点圏打率が3割を超えたのが5度。数字を見ても、チャンスに強いのは間違いない。だが、特筆すべきは短期決戦での勝負強さだろう。

2005年と10年に日本シリーズに出場し、2度MVPを獲得した。05年は8打席連続安打。10年は打率.444を記録した。

それを引き出していたのは、積極性だ。打てる球は、ファーストストライクから打ちに行く。それだけに、好調時は手がつけられなかった。

一方で、早打ちとも言えた。四球は少なく、出塁率も高くない。通算でも.321で、.350を超えたのは3度だけ。4割に達したこともなかった。四球は13年の26が最多だった。OPSが重視される現代の野球では、評価されにくい選手かもしれない。

守備も上手かった。入団時は遊撃手だったが、打力を活かすために三塁へ転向した。05-08年にゴールデングラブ賞を受賞。球際の強さと送球の正確さを兼ね備えていた。

犠打も得意だった。ロッテ時代は二番から九番まで、様々な打順を任された。05-12年は犠打が二桁を超え、10年は30犠打を記録した。

キャプテンシーもあった。小中と名門PL学園、ロッテでキャプテンを務めた。「キャプテンの責任は強く感じる。プロである以上、プレーで引っ張りたい」と話していた。

目の病気に罹患したために、現役生活は希望より短くなってしまった。引退記者会見では「まだまだ続けたい気持ちがある」と涙した。

通算1682安打。高卒4年目で定位置を掴んだことを考えれば、2000安打に届かなかったのは、筆者としても寂しい限りだ。いつも笑顔をたやさず、気さくに取材に応じてくれた。

ミスを恐れぬ積極性と、堅実な守備とバント。そんな魅力を持つ「第二の今江」を育てて欲しい。(恒)

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