ソフトバンク、西武、ロッテの各球団が積極的に活用している米国のトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」について、専門家が故障リスクを指摘しています。
ドライブライン・ベースボールとは?
シアトルを拠点とするこの施設では、科学的な動作解析や異なる重さのボールを使用したトレーニングを行い、投球フォームの改善と球速向上を図ります。MLBで活躍したティム・リンスカムをはじめ、多くのメジャーリーガーが利用。日本では日本ハムの金子弌大やロッテの西野勇士がトレーニングを行っています。
日本球界での導入状況
- ソフトバンク:秋季キャンプにスタッフを招き、希望選手がトライ
- ロッテ:種市篤暉、二木康太ら5投手を派遣
- 西武:若手6投手が参加
故障リスクの指摘
神事努・国学院大准教授(バイオメカニクス)は、2018年の学術論文を引用し、以下の点を指摘しています。
- 6週間のトレーニングで球速が 3.3%向上
- 24%の選手が 肘の障害を負った
- 研究対象の17人中4人が 肘を負傷し、1人は骨折、1人は引退
また、「球団が選手の肘の状態を適切に把握した上でトレーニングさせているか?」という疑問も投げかけています。
最新トレーニングの落とし穴
大谷翔平選手が受けた トミー・ジョン手術(MCL損傷の再建手術)のように、肘の負担が大きい日本の投手にとって、重いボールを使用したトレーニングがさらなるリスクを招く可能性があります。科学的な手法を取り入れる一方で、その危険性を理解し、適切な対応を取ることが求められています。